電車のつり革が高いのはなぜ?高さの決まり方と低いつり革の理由

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電車に乗っていると、ふと「つり革って少し高くない?」と感じることはありませんか。大人でも高いと感じる高さなのだから、子どもや小柄な人にとっては、さらに使いにくいと感じていることでしょう。

ですが、電車のつり革の高さは、ただ何となく決められているわけではありません。

多くの乗客が使いやすい位置や、車内での安全性、通路の動きやすさなど、いくつもの条件のバランスを考えて設計されているのです。国土交通省の公共交通機関の旅客施設・車両等・役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン(以下、バリアフリー整備ガイドライン)でも、つり革の高さや配置は客室用途や利用者の身長域、特に低身長者への配慮を踏まえて考えるように示されています。

本記事では、電車のつり革はなぜ高いのかという疑問に答えながら、高さはどう決まるのか、なぜ高すぎると感じる人がいるのか、低いつり革があるのはなぜかまで、やさしく整理して解説していきます。

毎日何気なく見ているつり革に、どんな工夫があるのかを知ると、いつもの電車の見え方が少し変わるかもしれません。

目次

電車のつり革はなぜ高い?

電車のつり革が少し高めに感じられるのは、単に「大人に合わせているから」というだけではありません。

実際には、たくさんの乗客が立って利用する車内で、できるだけ多くの人が使いやすく、安全に立てて、なおかつ通路の邪魔になりにくい位置を考えて決められています。国土交通省のバリアフリー整備ガイドラインでは、立席スペースのある車両には身体を保持できるようにつり革や手すりを設けること、高さや配置は利用者の身長域などに配慮することが示されています。

つり革の高さは「誰か一人にぴったり合わせる」のではなく、「車内全体として使いやすい位置」を探した結果だと考えるとわかりやすいかもしれません。

つり革の高さは多くの乗客が使いやすい位置

つり革の高さは、多くの人が無理なくつかまりやすい範囲を考えて決められています。

バリアフリー整備ガイドラインの事例では、一般つり革の下辺高さは1,600~1,650mm、低位つり革は1,550~1,600mm、通路つり革は1,800mm以上という考え方が紹介されています。これらは、人間工学や人体計測データをもとに、使いにくい人の割合をできるだけ減らすよう考えられた目安です。

つまり、つり革は「なんとなく高い位置」に付けられているのではなく、多くの乗客が安定して使える範囲を計算して設計されているのです。

高さは安全性・車内設計・通路の使いやすさのバランス

つり革の高さは、つかまりやすさだけでなく、安全性や通路の通りやすさも考えて決められます。

低すぎる位置にたくさんのつり革があると、通路を歩く人の頭や肩に当たりやすくなり、乗り降りや移動の邪魔になるおそれがあります。そのため、事例では通路つり革を1,800mm以上とする考え方が示されています。

電車のつり革は「届きやすいこと」だけでなく、「歩きやすいこと」「揺れたときに体を支えやすいこと」まで含めて考えられている設備です。

電車のつり革が高すぎると感じるのはなぜ?

つり革が高すぎると感じるのは、身長や腕の長さ、立つ位置などによって使いやすさが変わるからです。

人間工学の研究「通勤近郊列車のつり革高さと手すり位置の検討」では、つり革の使いやすさは床からの絶対的な高さだけでなく、利用者の身長に対してどれくらいの位置にあるかで評価されています。つり革長さ275mmの場合、身長比99%が最適、90~105%が推奨範囲とされています。

つり革の高さは鉄道会社によって基準が異なります。

身長によって使いやすい高さが変わる

同じ高さのつり革でも、身長が違えば使いやすさは変わります

背の高い人には自然に腕を伸ばせる高さでも、背の低い人には肩が上がりすぎたり、腕を無理に伸ばした姿勢になったりして、つかまりにくく感じやすくなります。研究でも、つり革の評価は身長比で考えられています。

「つり革が高い」と感じる人がいるのは、感覚の問題ではなく、体格差による自然な違いです。一般的な高さだけでは届きにくい人が一定数いることを前提に、低い位置のつり革などの工夫が取り入れられています。

混雑時は普段よりつかまりにくく感じる

混雑時は立つ位置が限られるため、普段よりつかまりにくく感じることがあります。

混んでいる車内では、自分にとってちょうどよい場所に立てず、少し離れた位置から腕を伸ばしてつかむことになりやすくなります。そのため、同じつり革でも、普段より持ちにくく感じることがあります。人間工学の研究でも、つり革の使いやすさは姿勢保持のしやすさと関わるものとして検討されています。

つり革の使いにくさは、単なる高さの数字だけでなく、立ち位置や体の向き、車内状況も重なって生まれます

電車のつり革に低いものがあるのはなぜ?

低いつり革があるのは、身長差のある乗客ができるだけ使いやすいようにするためです。

同じ車両でも少し低めのつり革が混ざっていることがあります。これは単なるデザインの違いではなく、幅広い利用者を想定した設計の一部です。一般つり革の下辺高さが1,600~1,650mm、低位つり革が1,550~1,600mmとされているのは、女性や高齢者の使いやすさをより重視した結果です。

低いつり革は幅広い乗客が使いやすいように

低いつり革は、すべての人が同じ高さを使いやすいわけではないからこそ設けられています。

つり革は多くの乗客が使いやすい位置を目指して設計されますが、実際には身長や腕の長さに個人差があります。そのため、一般的な高さだけでは使いにくい人が出てきます。

低いつり革は、一部の人のための特別な設備というより、利用者の幅を広げるための工夫です。つり革だけでなく、手すりなども組み合わせて、できるだけ多くの人が体を支えやすいように工夫されているのです。

低いつり革は優先席前や一般つり革と交互に設置していたりする場合もあります。

すべてのつり革が同じ高さとは限らない理由

つり革の高さがそろっていないように見えるのは、場所ごとの役割が違うからです。

通路側は人の行き来が多いため、低すぎると頭や肩に当たりやすくなり、移動の邪魔になるおそれがあります。そのため、通路つり革は高めに考えられています。一般用や低位用では重視する条件が異なり、一般用は全体の使いにくさを減らしつつ成人男性の使いやすさが悪化しない範囲、低位用は女性や高齢者の使いやすさを重視した範囲で考えられています。

高さの違いにばらつきがあるのは、車内全体の使いやすさを整えるための設計上の工夫です。

電車のつり革の高さには安全面の理由もある

つり革の高さには、届きやすさだけでなく、安全に立てることや移動しやすいことも関係しています。

電車のつり革は、急な揺れやブレーキのときに立っている人が体を支えられること、そして乗客がスムーズに移動できることの両方を考えて設計されています。

つり革は「つかまるため」だけではなく、揺れる車内で安全を確保する設備でもあります。

低すぎると通路の移動や乗り降りの邪魔

つり革が低すぎると、通路を歩く人や乗り降りする人の邪魔になりやすくなります。

とくにドア付近や通路では、乗客の動線を確保することが重要です。バリアフリー整備ガイドラインの事例で通路つり革が1,800mm以上とされているのも、つかまりやすさだけでなく通路としての要件を考えられているためです。

つり革の高さは、立っている人だけではなく、歩く人や乗り降りする人も含めた安全性で決まっています。

立っているときのバランスが取りやすい位置

つり革の高さは、揺れる車内で体勢を保ちやすいことも考えて決められています。

バリアフリー整備ガイドラインでは、立席スペースのある車両では利用者が身体を保持できるように設備を設けること、つり革の利用が難しい人には縦手すりも配慮することが示されています。

つり革は、高すぎれば腕を伸ばしすぎて不安定になり、低すぎれば動線の邪魔になりやすいため、その中間の使いやすい位置に設置されています。

平均的な使いやすさを重視

電車のつり革は、誰か一人に合わせるのではなく、できるだけ多くの人が安全に使えることを重視して決められています。

一般つり革は全体の使いにくい割合が小さく、かつ成人男性の使いやすさが悪化しない範囲、低位つり革は女性や高齢者の使いやすさをより重視した範囲で考えられています。

「誰にとっても完璧」ではなく、「できるだけ多くの人にとって無理が少ない」ことが、つり革の高さ設計の基本です。

電車のつり革が高い理由は使いやすさと安全性

電車のつり革が高いのは、多くの人が使いやすく、安全に立てて、通路の邪魔にもなりにくい位置を基本に考えられているからです。

電車のつり革が高いように見えても、ただ何となく決められているわけではありません。多くの乗客の使いやすい位置を考えながら、通路の通りやすさや乗り降りのしやすさ、安全に体を支えられることまで含めて設計されているのです。

国土交通省のバリアフリー整備ガイドラインの事例でも、つり革は利用者の身長や車内での役割に応じて高さを考えられています。

もちろん、身長差や体格差があるので、つり革を誰にとってもちょうどよい高さにするのは簡単ではありません。そのため、一般的なつり革だけでなく、低めのつり革や手すりなどと組み合わせて、できるだけ幅広い人に使いやすくなるように工夫されています。

優先席前のつり革の色を優先席と同じ色にしていて、優先席の場所をわかりやすくしている鉄道会社もあります。

普段は見慣れていて意識しにくい設備ですが、つり革の高さには、たくさんの人が同じ車内で安心安全に過ごすための考え方が詰まっているのです。

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