車のナンバープレートを見るとき、多くの人は数字や地名には目がいっても、その間にある「ひらがな」を意識していないかもしれません。ですが、実はこのひらがなには、ただの飾りではないきちんとした意味があります。
ナンバープレートの「ひらがな」は、自家用・事業用・貸渡用などの区別に関わる表示のひとつです。
たとえば、レンタカーでよく使われる「わ」は有名ですが、それ以外のひらがなにも意味があります。ナンバープレートは一見するとただの記号の並びに見えますが、他の表記(地名や分類番号、数字)と同じように、ひらがなにも車を見分けるための情報が込められているのです。
本記事では、ナンバープレートのひらがなが何を表しているのかを、できるだけやさしく整理しながら解説していきます。自家用車・事業用車・レンタカーの違いや、ひらがなは自由に選べるのかといった疑問にも触れつつ、普段何気なく見ているナンバーが少し面白く見えてくる雑学としてご紹介します。
この記事を読み終えるころには、街で見かける車のナンバープレートから、その車の用途や違いを今までより少し深く読み取れるようになっているはずです。
ナンバープレートのひらがなは何を意味しているのか?

車のナンバープレートを見ると、まず目に入りやすいのは地名や数字ですが、左にある「ひらがな」にも、実はきちんとした意味があります。普段はあまり意識しない部分ですが、このひらがなは単なる飾りではなく、車を見分けるための情報のひとつです。
まずは、ナンバープレートのひらがなが何を表しているのかを整理しながら、ほかの表示との違いもあわせて見ていきましょう。意味がわかると、普段見慣れた車のナンバーが少し違って見えてくるはずです。
ナンバープレートのひらがなは「用途の違い」を表している
ナンバープレートのひらがなは、主にその車がどのような用途で使われているかを見分けるための表示です。つまり、「どんな場面で使う車なのか」という違いを読み取るヒントになっています。
たとえば、個人や家庭で使う自家用車と、仕事で使われる事業用の車、そしてレンタカーのように貸し出しを前提とした車では、区分の考え方が異なります。その違いを見分けるために、ひらがなが使い分けられているのです。
このため、ナンバープレートのひらがなを見ると、その車がどのような用途で登録・利用されているのかをある程度推測することができます。何気ない一文字ですが、実は車の役割を表す大切なサインになっているといえます。
地名・分類番号・ひらがな・数字はそれぞれ役割が違う
ナンバープレートは、ひらがなだけで成り立っているわけではありません。上段と下段に並ぶ文字や数字には、それぞれ別の情報があります。
国土交通省では、ナンバープレートの表示事項を地名・分類番号・ひらがな等・一連指定番号として整理しています。
| 表示事項 | 役割 |
|---|---|
| 地名 | 使用の本拠地を表す地域名 (管轄する運輸支局、自動車検査登録事務所 または、地域・観光振興による地域名) |
| 分類番号 (上段の数字) | 自動車の種別や用途の区分 |
| ひらがな等 | 用途の違い |
| 一連指定番号 (下段の数字) | 個々の車を識別する番号 |
ひらがなだけで車のすべてがわかるわけではない
ナンバープレートのひらがなが重要だからといって、その一文字だけで車のすべてがわかるわけではありません。ひらがなでわかるのは、あくまで用途の違いの一部です。
その車がどの地域を本拠地としているのか、どの区分の車なのか、さらには自家用か事業用かを判断する場合には、地名や分類番号、プレートの色などもあわせて見る必要があります。
だからこそ、ナンバープレートは全体で見ると面白さが増します。ひらがなの意味を知ったうえで、ほかの表示事項にも目を向けると、普段は見過ごしていた車の情報が細かく見えてきます。
ナンバープレートのひらがなで何が見分けられる?

ナンバープレートのひらがなには意味があるとわかっても、「では、実際に何が見分けられるの?」と気になると思います。結論からいえば、ひらがなを見ると、その車が自家用なのか、事業用なのか、あるいは貸し出し用なのかといった“用途の違い”をある程度読み取ることができます。
自家用車・事業用車・レンタカーという3つの視点から、ナンバープレートのひらがなを見ていきましょう。意味を知ると、ふだん見慣れたナンバーの印象も少し変わってくるはずです。
登録自動車のひらがな区分
| 用途 | ひらがな・ローマ字 |
|---|---|
| 自家用 | さ、す、せ、そ、 た、ち、つ、て、と、 な、に、ぬ、ね、の、 は、ひ、ふ、ほ、 ま、み、む、め、も、 や、ゆ、 ら、り、る、ろ |
| 事業用 | あ、い、う、え、 か、き、く、け、こ、 を |
| レンタカー用 | れ、わ |
| 駐留軍人・軍属私用等 | よ、 E、H、K、M、T、Y |
参照元:国土交通省
「登録自動車」とは、軽自動車以外の普通車・小型車など、国に登録して使う車のことです。この記事では、ざっくり「軽自動車以外の一般的な車」と考えてください。
軽自動車のひらがな区分
| 用途 | ひらがな・ローマ字 |
|---|---|
| 自家用 | あ、い、う、え、 か、き、く、け、こ、 さ、す、せ、そ、 た、ち、つ、て、と、 な、に、ぬ、ね、の、 は、ひ、ふ、ほ、 ま、み、む、め、も、 や、ゆ、よ、 ら、る、ろ、 を |
| 事業用 | り、れ |
| レンタカー用 | わ |
| 駐留軍 | A、B |
参照元:軽自動車検査協会
自家用車に使われるひらがなの考え方
ふだん街中でよく見かける乗用車の多くは、自家用車です。自家用車というと、個人が持っている車を思い浮かべると思いますが、必ずしも個人名義だけを指すわけではありません。会社が保有していても事業用運送ではない車であれば「自家用」として扱われることがあります。これは制度上の「自家用」が、所有者の属性そのものよりも、使用形態の区分に関わるためです。
こうした自家用車には、自家用としての区分に応じたひらがなが使われます。つまり、ナンバープレートのひらがなは、その車が一般的な生活や業務の中で使われる“自家用の車”なのかどうかを見分ける文字になっているのです。
ただし、ひらがなはあくまで制度上の用途区分を見るためのものなので、所有者の細かな情報までわかるわけではありません。
事業用の車に使われるひらがなの特徴
仕事として人や荷物を運ぶ車には、事業用の区分があります。たとえば、タクシーや運送会社のトラックなどは、一般的な自家用車とは異なる用途で登録され、ナンバープレートの表示にも違いがあります。
このとき、ひらがなも自家用車とは別の文字が使われています。つまり、同じ会社であっても、日常的に使う自家用なのか、運送や営業などの事業に使う事業用なのかによって、ナンバープレートのひらがなが変わるのです。
また、事業用の車はプレートの色でも見分けられます。車の用途を確認するには、ひらがなだけに注目するよりも、色や分類番号と組み合わせて見れば、より細かな情報がわかります。
レンタカーでよく見る「わ」「れ」はどう違う?
ナンバープレートのひらがなで、もっとも有名なのはやはり「わ」でしょう。旅行先や駅前のレンタカー店などで見かけることが多いため、「わナンバー=レンタカー」というイメージを持っている人も多いはずです。実際、「わ」は貸し出し用の車を連想させる代表的な文字として広く知られています。
ただし、ここは少しだけ補足が必要です。登録自動車では、貸渡用(レンタカー・カーシェア)として「わ」だけでなく「れ」も使われることもあります。一方、軽自動車では貸渡用(レンタカー・カーシェア)は「わ」だけで、「れ」は事業用に使われています。つまり、「れ」の意味は車種によって違うのです。
一般的な覚え方として整理すると、レンタカーは「“わ”ナンバー」と「“れ”ナンバー」の登録自動車ということになります。
ナンバープレートのひらがなは自由に選べる?

ナンバープレートのひらがなに意味があるとわかると、次に気になってくるのが「ひらがなは自分で選べるの?」という疑問です。たしかに数字部分は希望ナンバーとして好きな番号を選べるため、ひらがなも同じように選べると思うかもしれません。
しかし、実際にはナンバープレートのひらがなは、自由に決めることはできません。また、使われていない文字もあります。
希望ナンバーで選べるのは数字で、ひらがなは選べない
車のナンバープレートには、好きな数字を選べる「希望ナンバー制度」があります。そのため、「ひらがなも好きな文字にできるのでは?」と思うかもしれません。ですが、選べるのはあくまで下の数字部分であり、ひらがなは自由に指定することはできません。
ひらがなは、車の用途や登録上の区分を表すためのものです。つまり、個人の好みで選べる無意味な記号ではなく、制度上のルールに沿って割り当てられる文字だということです。たとえば、「わ」が目立つから選びたいとか、好きなひらがなを入れたいと思っても、そのような選び方はできません。
一連指定番号は識別用の数字なので自由に選べるが、ひらがなは車の用途を示す情報なので選べない。ナンバープレートの表示の意味が分かれば、選べない理由も理解しやすくなるでしょう。
使われない文字があるのはなぜ?
ナンバープレートのひらがなをよく見ていると、よく見かける文字がある一方で、「そういえばこのひらがなは見たことがない」と感じる文字もあります。五十音のひらがな全てが同じように使われているわけではないというのは、不思議に思うかもしれません。
| 使われない文字 | 理由 |
|---|---|
| お | 「あ」に似ていて見分けづらい |
| し | 「死」を連想させる |
| へ | おならを連想させる |
| ん | 発音しにくい |
使わない文字がある理由は、見間違いを防ぐためや縁起が悪いためです。ナンバープレートは道路上で瞬時に読み取ることが多いため、まぎらわしい文字や判別しづらい文字、発音のしにくい文字は使いにくくなります。表示のわかりやすさや伝えやすさは、制度上とても大切なポイントです。
昔は、「目が悪い人(乱視や斜視など)が見分けづらいから」と言っていたような気がします。特に「お」と「あ」、「し」と「く」、「へ」と「つ」、「ん」と「そ」が見分けづらいとか。ちなみに「め」と「ぬ」、「ろ」と「る」は「◯」があるので、見分けられるらしいです。あくまで、私の記憶の話です。
また、見かけにくい文字があるのは、用途ごとの区分に応じて運用されているためです。「あいうえお順」で均等に使っていないため、一般の人が日常で見かける文字には偏りが出やすくなります。
ひらがな以外も見るとナンバープレートはもっとわかりやすい

ナンバープレートのひらがなには、車の用途の違いを見分ける役割があることがわかりました。ただ、ひらがなだけに注目していると、「なんとなく違いはわかるけれど、全体像まではつかみにくい」と感じるかもしれません。そんなときは、ナンバープレートのほかの要素にも目を向けてみるのがおすすめです。
地名や分類番号、プレートの色にもそれぞれ役割があり、それらをひらがなとあわせて見ることで、その車の特徴がよりわかりやすくなります。つまり、ひらがなは入り口であり、全体を読むとナンバープレートはもっと面白く見えてきます。
普段は何気なく見過ごしているナンバーでも、少し見方を変えるだけで「この車はこういう使われ方をしているのかもしれない」と想像しやすくなります。ひとつひとつは小さな区分ですが、組み合わせて見ることで、車の用途や役割がはっきりと見えてくるのがナンバープレートの面白いところです。
地名・分類番号・プレートの色もあわせて見るのがコツ
ナンバープレートをよりわかりやすく見るには、ひらがなだけでなく、地名・分類番号・プレートの色も一緒に確認するのがコツです。
まず地名は、その車の使用の本拠地を示しています。車庫証明に記載した住所を管轄している運輸支局や自動車検査登録事務所の地名です。または、2006年以降に地域・観光振興を目的に募集された地域名(通称「ご当地ナンバー」)になります。
次に分類番号は、自動車の種別や用途の区分を示す数字です。細かな制度まで覚える必要はありませんが、「ひらがなは用途のヒント」「分類番号は車の種別や用途の区分を見る手がかり」と大まかに押さえておくと、ナンバープレート全体の役割が整理しやすくなります。
| 自動車 | 分類番号(頭1桁) | |
|---|---|---|
| 普通 | 貨物自動車 | 1 |
| 乗合自動車(定員11人以上) | 2 | |
| 乗用自動車 | 3 | |
| 小型 | 貨物自動車 | 4、6 |
| 乗用自動車 | 5、7 | |
| 特殊用途自動車(パトカー、救急車など) | 8 | |
| 大型特殊自動車(建設機械を除く) | 9 | |
| 大型特殊自動車(建設機械) | 0 | |
参照元:国土交通省
そして、プレートの色も自家用か事業用かを見分けるヒントになります。
| 自動車 | 用途 | 塗色 |
|---|---|---|
| 登録自動車 | 自家用 | 白地に緑文字 |
| 事業用 | 緑地に白文字 | |
| 軽自動車 | 自家用 | 黄地に黒文字 |
| 事業用 | 黒地に黄文字 |
参照元:国土交通省
ひらがなの意味を知ったあとに、地名や分類番号、色にも目を向けると、普段見慣れた車のナンバーが少し“読めるもの”に変わってくるはずです。
ナンバープレートのひらがなは“用途の違い”を見る手がかり

ナンバープレートのひらがなは、ただの飾りや語呂合わせのためにあるわけではありません。車がどのような用途で使われているのかを見分けるための大切な手がかりです。自家用車、事業用車、レンタカーといった用途の違いを考えるうえで、ひらがなにはきちんとした役割があります。
とくに「わナンバー」は広く知られていますが、それ以外の文字にも意味があり、ひらがなを見るだけでも車の使われ方をある程度想像できます。ただし、ひらがなだけですべてがわかるわけではなく、地名や分類番号、プレートの色もあわせて見ることで、より詳しくわかることができます。
普段は何気なく見ているナンバープレートにも、実はしっかりとしたルールと工夫が詰まっています。次に車を見るときは、数字だけでなく、ぜひ「ひらがな」にも注目してみてください。たった一文字の中にも、思わず「へえ」と言いたくなるような雑学が隠れているのです。

